柏餅の葉っぱのなぞ、食べる?食べない?柏餅と葉っぱの役目
柏餅に葉っぱがついていますが、桜餅の葉っぱのように食べることはできません。
葉っぱを取って餅の部分だけ食べることになりますが、柏餅の葉っぱは飾りなのか、何か意味のあるものなのか気になります。
柏餅は上新粉を原料とした餅にこしあんやつぶあんなどの餡を入れて柏の葉っぱで包んだお菓子です。
この葉っぱは柏ではなく槲というブナ科の植物で、“かしわ”はもともと「槲(かしわ)」の文字が使われていていました。
全国のある落葉樹で、比較的容易に手に入れることができます。「葉守り神」が宿る縁起のよい木とされています。
古い葉と新しい葉が絶え間なく入れ替わることから「葉(覇)を譲る」家運隆盛を象徴する木として、端午の節句の柏餅に使われようになりました。
なんだか神聖な葉のようですが、食べずに捨ててしまうのも、なんだか気が引けます。
また私の育った地域では柏餅ではなく“ちまき”を食べていました。この違いは何でしょうか?
そんな端午の節句(こどもの日)に欠かせないものとして、これまで不思議に思っていた柏餅やちまきについて見ていきます。
柏餅の葉っぱは代用できる?餅と葉っぱの相性
柏餅の葉っぱは槲の葉ですが、実は柏餅に槲の葉っぱを使っている地域は限られていました。
柏餅に槲の葉を使うようになったのは江戸以前の頃に遡り、槲の葉っぱを使っていたのは江戸の町近辺のみでした。
江戸以外の地域では柏餅の葉っぱは槲ではなく、サルトリィバラ、ホオノキ、ニッケイなどの葉っぱで代用していました。
その中でもサルトリィバラの葉っぱは西日本で特に使われていました。
そのため、槲の葉っぱ以外の葉っぱを使っていても柏餅と呼んでいたので、柏餅は槲の葉を使っているとは限らず、代用できることが分かります。
柏餅の葉っぱは桜餅のように葉っぱは食べることはできず、柏餅の葉っぱは香りづけの役割として使われています。
槲の葉っぱ自体は、有毒だったり危険なものではなく、自然なものなので安心です。
柏餅の葉っぱに槲が使われるようになったのは江戸ではサルトリィバラが手に入りづらく、その代わりに槲の葉は手に入りやすいので槲の葉が使われるようになりました。
しかし、風味や香りはサルトリィバラの方が良く、槲の葉の評判は良いものではありませんでした。
しかし、槲の葉は新芽が落ちるまで古い葉が落ちないという特徴があり、家系が途切れないという意味や子孫繁栄の縁起物として広まりました。
槲の葉で餡が入った餅を包んだ柏餅は縁起が良いものとして現代にまで受け継がれてきました。
柏餅の槲の葉は子孫繁栄や家系が途切れないといった縁起が良いものとして広まり、縁起が良い食べ物として端午の節句に成長を願って食べられるようになりました。
こどもの日に食べるのは柏餅?ちまき?その違いとは
こどもの日に謳われる「背くらべ」という歌があります。その中には「柱のきずはおととしの 5月5日の背くらべ ちまき食べたべ 兄さんが~」とありますよね。
あれっ、柏餅じゃない!ちまきがこどもの日に食べるものなの?
これは、地域によって柏餅を食べるところとちまきを食べるところがあります。
日本では5月5日はこどもの日ですが、もとは中国の季節の歳事「端午の節句」がその由来です。
後に日本の風習と中国の風習が合わさって今のこどもの日の行事になったようです。
「ちまき」は中国から入ってきた風習がそのまま残っているもので、中国の故事に由来しています。
そこでは、供え物の楝樹(れんじゅ=センダン)で包んだもち米を、邪気を払う五色(赤・青・黄・白・黒)の糸で縛ってから川へ投げいれたことからきている風習です。
鯉のぼりの吹き流しに5色が使われているのはその名残で、特に西日本では食べ物のちまきもそのまま、こどもの日に食べるものとして定着しています。
柏餅は江戸時代に江戸で生まれた日本独自のもので、関東を中心に全国に広がったものです。
そのため伝統的な地域ではちまきが風習として残り、江戸(東京)を中心とする関東では、柏餅が主流になっているわけです。
端午の節句と柏餅についてのまとめ
柏餅の使われている葉っぱはただ餅を包んでいるのでなく、槲の葉っぱは子孫繁栄などの縁起が良い意味を持つので使われるようになりました。
香りづけや食べやすくするため、餅がつかないようにするためといった実用的な目的で柏餅の葉は使われていることが分かります。
また、端午の節句(こどもの日)の食べ物は関東を中心とした柏餅と関西に残るちまきの2つの風習が残っています。
時代とともに、風習は変化していますが、本来こどもの日はすべての子どもの無病息災を願うことです。男女問わず、健やかなこどもの成長を願い、考える日にしたいですね。